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DCAは東レが文化支援の一環として主催するコンピュータ・ピクチャーの公募展です。

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DCA2007 審査委員講評
土佐信道 明和電機社長
神田サオリ アーティスト
ケビン・マヤソン 株式会社 レインボー・ジャパン代表取締役
株式会社レインボー・パートナーズ 代表取締役
斉藤典彦 東レ株式会社常務取締役
総務・法務部門・IR室・広報室・宣伝室統括
土佐信道
明和電機社長
総評
ずっと長くやっているコンテストなので、常連さんと新人さんが出てきていて、今回はその戦いという感じがしました。ボクサーにたとえると、引退間際のボクサーとそれにチャレンジする新人ボクサー、その中でやはり引退間際の常連さんの粘り勝ち! そんな感じでした。
受賞作品講評
■最優秀賞について
見事激戦を勝ち抜いた黒滝淳さんは今回3回目の応募だと思いますが、最初に審査会場に来て今回の作品を見たときに「あ、グランプリ」と思いました。というのは、以前応募された2作品は“趣味”だと思ったんですが、今回は“絵”になっているというか。ゆがんでいる感じが内面から出始めて面白くなってきたというか。イラストレーターから画家になってきた気がします。こういう人生の流れが見られるのは長い間やっているコンテストの面白いところだなぁ、と感じました。個人的には、今回の作品の中の小さな犬と蛙が好きです。細やかさがステキです。
 
■優秀賞について
作品テーマ「彩」の優秀賞受賞作品「彩-四季の風-4部作」(斎藤 茂)は、あるようでなかったような作品という気がします。CGでこういうものを描くと大体“光の表現”、絵の具でいうと透明水彩という感じのものになるのですが、斉藤さんの作品はガッシュというか、透明水彩を塗り重ねたような画面になっていて、整備されているけど非常に美しい。とても新鮮な感じがしました。おそらく絵の具でこういうものをかなり描かれた方なのでは、と思います。年齢も69歳ということで、やはり粘り勝ち!
 
「笑」というテーマでの応募作品全体を見たときに、“笑い”というのは痙攣・麻痺だな、と痛感しました。僕はもっとニヒルな笑い、クスッという笑いが多いのではと想像していたのですが、狂気の世界がそこに展開しておりました。その中で優秀賞を受賞された「笑年合笑団」の浦地 思久理さんは42歳、ということで、いわゆるYMO世代ですね。YMOの「増殖」というアルバムがありますが、そのYMOの3人の人形がバーッと並んでいるジャケットにそっくりです(笑)。そういうテクノ世代の感じがして面白かったです。画面の構成にも細やかさもありました。
 
作品テーマの「造」という言葉をどう解釈するかというところで、今回の優秀賞受賞作品「ポートレート1,2,3,4,5」(アン キヨン)は、は“クリエイション”つまり“創造する”というのがポイントだったと思います。自分の体を直接スキャナーで読み込んで作るという手法は、昔からの影絵に近いのではないかと思いました。東京でカンサロッカという影絵のグループが来てはやっていますが、それと同じで、古いけど新しいという感じがしました。それから、自分の指紋がしっかり採られているのでこの方は犯罪は犯せないな、と(笑)。この手法はとても面白いので、子供向けのワークショップなんかでもすぐに応用できそうで、これから広がっていく可能性がありますね。
 
■審査委員奨励賞について
一言で言うと予備校タッチが抜け切れていない、という感じですね。きつい言い方ですが書き込むことでの完成度という点ではすでに達成されている方なので、一度この絵を崩した方がいいな、というのが感想です。悪い絵でもなく、テーマが悪いわけでもないけれども、いわゆるスランプ、正しい解釈で言うと、「山を登っていって一度平原に出てしまって、次どこに登っていいかわからない」という、そこに来ちゃっている平らな感じがします。期待しているからこその発言でした。
 
■明和電機賞について
すごくかわいらしいキャラクターでストーリー性があって、よくよく見るとものすごい書き込みをしている。絵そのものはファンタジーな感じで、ゲームなどのワンシーンのような感じですが、そこを抜き出して書き込んでいるというところに共感がわいて、何か明日への希望の歌が聞こえてきそうな、そういう元気さが素直にいいな、と思いました。
神田サオリ
アーティスト
総評
2007テーマ「彩」「笑」「造」に多数ご応募頂きありがとうございました。テーマに対する想像力・表現技術の完成度・世界観のオリジナリティが抜きん出た作品達が最終戦まで残り、審査委員一同非常に悩み抜いた末、今回の審査結果となりました。モノクロで敢えて「彩」を表現する作品や、笑えないディープな世界観の「笑」作品など、逆説的テーマ解釈の作品が意外と多かった事が興味深いです。残念ながら表現技術力とオリジナリティの面で受賞を逃してしまいましたが、次回もテーマを独自の視点で読み解いて挑む作品をお待ちしています。作品コメントも審査の際に重要視。(絵とテーマがこじつけか否かで判断するケースが多数あります。)作品にまつわるストーリーやコンセプトも丁寧にお伝え頂く事を期待しております。
受賞作品講評
■最優秀賞について
黒滝さんはここ数年続けて応募して頂きましたが、本作品は今までとは一線を隔す作品で審査委員一同驚きました。細部に至るまで張り巡らされたオリジナリティ溢れる世界観、それらを伸び伸び表現する技術力、色彩感覚。全てが見事にあわさって最優秀賞受賞となりました。黒滝さんの絵には「描くのが楽しいの!」が充ち満ちていて何よりの魅力となっています。「唄うママンとレデイ達」のお洒落には、捕われない色彩センスが炸裂。彼女達のブティックがオープンする日を密かに楽しみにしています。
 
■優秀賞について
作品テーマ「彩」の優秀賞受賞作品「彩-四季の風-4部作」(斎藤 茂)は、「色彩の美しさ」でテーマに挑んだ作品の中でも群を抜いて惹き付けるものがありました。ゆっくりと移り変わる時間が感じられ、美しい旋律まで聴こえてきます。シンプルな技法なだけに、ともすると面白みに欠けてしまいがちですが、斉藤さんの作品は透明感に満ち、ずっと眺めていても飽きる事無い魅力があります。
 
作品テーマ「笑」で優秀賞を受賞した「笑年合笑団」(浦地 思久理)は、「笑」の隣に潜む「怒」や「哀」が、観る者のこころの中をざわざわとくすぐり、笑うこと本来の感覚を呼び覚ましてくれます。5枚組で表現したテンポある構成が素晴らしい。タイトル、色彩のセンスも絶妙。…くすりとしたシュールな笑いは、大笑いするよりも心に染み付いて、なかなか離れ難いものですね。
 
「造」というテーマは建築的な展開に偏りがちでしたが、優秀賞を受賞した「ポートレート1,2,3,4,5」のアン キヨンさんは、創造の根本である「肉体」に着目して見事に表現してくれました。どこかとぼけた姿の生き物達。変な形だなあと興味をそそられ、近づいてみる。と、彼らのパーツの全てが、自分たち人間そのものだと気づいた時、どきりとさせられます。あらためて人間という創造物に想いを馳せてしまう、アイディア際立つ作品です。
 
■審査委員奨励賞について
今回審査委員一同、悩みに悩み抜いた作品。日常の何気ない風景を題材に「彩」を表現してくれています。会議室でアイディアに花を咲かせる面々、帰宅途中しおれきって眠る人々。アイディアも面白く、完成度も非常に高いのですが、審査委員を悩ませたのは「頭に花が生えている人物」スタイルに固執しすぎてしまっている点。内田さんの実力があれば、より深いオリジナリティーある作品を展開できると思います。テーマに対して幅広い視点で挑戦して欲しい気持ちをこめて、奨励賞となりました。
 
■神田サオリ賞について
独特の構図と繊細な描写で完成度もあり、魅力的な作品ですが、「造」というテーマとの繋がりが感じられず、部門受賞は叶いませんでした。 ただ、伊川さんの「絵画としての力」は評価が高く、今回神田サオリ賞に選ばせて頂きました。
斉藤典彦
東レ株式会社常務取締役
総務・法務部門・IR室・広報室・宣伝室統括
総評
年々、応募作品の表現が多様・多彩になっていることを感じました。CGが絵画の一つのジャンルへと確実に歩みつつあることの証しでもあろうかと思え、心強く、また頼もしく感じた次第です。
応募作品は、いずれも甲乙つけ難い力作であり、評価・選定することの難しさを感じつつ審査を進めました。多くの作品を拝見し、評価するに際しては、その作品のコンセプトのユニークさというオリジナリティー、またはクリエイティビティーがキーポイントになるように思います。そのコンセプトを表現するテクニックも大切なことなのですが、CGは多様なテクニックを駆使出来ることから、そのテクニックがコンセプトを表現するのに最適なテクニック(手法)なのかどうかが、一方のキーポイントであろうと思います。コンセプトに相応しいテクニックが見る者に強いインパクトを与えることになるのではないでしょうか。私自身は、そんな見方で作品を選定しました。
受賞作品講評
■最優秀賞について
DCA2007の最優秀作品として、黒滝淳さんの「唱うママンとレディ達」を選出しました。黒滝さんはDCAには3回目の応募になると思いますが、年々、確実に表現に奥行きをつけられ、進化されているように感じました。特に今回作品は、「彩」というテーマを意識されてのことと思いますが、ママンとレディ達の衣装や髪の彩りは極めて洗練されたものであり、衣装のレースの透明感などの繊細な表現や小物類の芸の細かさは秀逸です。漆黒の背景に浮かび上がる華麗な妖怪(失礼しました。妖精?)たちに感動です。審査委員全員一致で最優秀賞に選定しました。
 
■優秀賞について
「彩」の部門は参加作品が多く激戦区となりましたが、優れた作品も多く、まさに彩りも多彩で、審査する側からすれば、たいへん楽しめました。優秀賞に選定した斎藤茂さんの「彩−四季の風−4部作」は、画面を上下に仕切る水平線が印象的な、正にタイトルである「四季の風」を感じさせる作品です。既成の四季の彩りをむしろ否定するような、透明感溢れる幻想的で華麗な四季の彩りが新鮮でした。まさに、「彩」部門を代表する優秀賞に 相応しいと思いました。
 
「笑」の部門優秀賞には、浦地思久理さんの「笑年合笑団」を選定しました。この「笑」部門への応募作にストレートな笑いの表現があまり見られなかったのは、笑うに笑えない時代風潮が反映してのことでしょうか。そんな作品の中で異彩と放ったのが、「笑年合笑団」でした。まず、コンセプトがユニークです。確かに、笑う人は様々でしょうし、いろいろな笑いの種類があるはずです。整然と雑然、全体と個、明と暗など様々の対比を楽しめる作品です。「笑」部門優秀賞に最も相応しいと感じました。
 
「造」の優秀賞は、アン・キヨンさんの「ポートレート1,2,3,4,5」に決定しました。アンさんは、きっと、「造」のテーマに本当に真剣に取り組んで頂けたのではないでしょうか。生まれ出たユニークな作品は、人体そのものの一部を用いたコラージュです。左右対称の、不思議で不気味なモンスター達は、間違いなく、人体が生みだした姿なのです。一見、不気味なモンスター達をよく観察すると、蛙のようであったり、ロボットのようであったりと、可愛らしくも感じて来ます。
 
■審査委員奨励賞について
内田達也さんの「華麗なる日々」は、昨年もDCA優秀賞を受賞した作者の、独特の世界がより完成度を高めていることを感じさせました。「彩」のテーマに相応しく、彩り豊かに進化していることも評価出来ます。一方で、まだ若い内田さんの作風が成熟しつつあることを感じ、現在の作風を超えた作品に挑戦もして欲しいという審査委員一同の思いから、審査委員奨励賞と致しました。
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