先生の作品としては、GROWTH MODELのほかにもうひとつ大きな流れとして
GEMOTIONがありますね。 |
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1987年にイタリアのスカラ座で、僕の映像と、イタリアの有名な音楽家、民族踊りが競演するオペラ公演をしたんですよ。連日超満員で大成功だったんだけど、この時思ったのが、音楽と踊りはその場で即興でできるのに、僕のCG映像だけは生成するのに何ヶ月もかかるということなのね。それで僕の中に「舞台」での即興的な共演という概念が出てきたんです。将来舞台でGROWTH MODELをリアルタイムにやりたい、と思ってね。
それがGEMOTION(ジェモーション)プロジェクトです。人間とCG映像がリアルタイムで反応する情感的な世界。「反応する芸術」です。2000年頃からは、舞台でのコラボレーションで、踊る人や音楽に反応して映像の色彩や動きが変容する映像空間の創出を始めました。国内外の国際大会の基調講演等で頻繁にショーを実現しています。 |
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立体視「コアセルベータ」 ©YOICHIRO KAWAGUCHI 1994 |
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能や日本舞踊とのコラボレーションもされていますね。
伝統芸能を世界へ発信するというのも大きなテーマなのですか。 |
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日本の能・狂言や歌舞伎をはじめ、中国の京劇とか、韓国の伝統踊りとか、いろんな国や地方ごとの文化とコラボレーションして新たな21世紀型の可能性を引き出したいですね。
地球全体で見ると文化は非常に多様性に富んでいるでしょ。この多様性が大切なんですよ。もし地球全体が同じ踊りをするようになったら、それは絶滅を意味するのね。だからいろんなものがあった方が未来の文化芸術は栄えるんです。密度の濃い多様性は進化の一番の原動力ですよ。
アートもそう。日本のCGがアメリカのハリウッドを真似してもダメなんですよね。日本独特なものとしての感性を伸ばした方がいいんですよ。違いを出さないと、画一化されちゃって芸術が豊かにならない。コンピュータは無国籍になりがちだから画一化しやすいので、個の表現力が負けないよう自分自身が気をつけなくちゃいけない。 |
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| 「流行に乗らずに原点に戻る」大切さですね。 |
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| そうです。流行にどっぷり浸るよりちょっと一歩離れたところに身を置いた方が世の中の流れが面白く見えるかもしれない。それと、次の世代の子供たちが興味を持つことも大事。GEMOTION(ジェモーション)は子供たちがすごく喜んでくれるんですよ。日本の伝統もちょっと子供たちにうけるようにさらに自己努力した方が良くなるかもしれないよね。そういう発想で今後の未来的な舞台なんかも考えて行ったら面白いね。 |
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| これからGEMOTIONはどこに向かっていくのでしょうか。 |
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| 今のいわゆるインタラクティブアートというのは、楽しめるのはごく少人数という、個人ターゲットのものが多いんだよね。僕の場合は、舞台でマスをも相手にしたいんです。大シアターで多数の人たちが自由奔放に楽しめるアートの凹凸する大映像の創造。僕にとって、作品が人に反応するということは、作品が生き物のように呼吸し、エモーショナルに形や色が変容し、進化や成長、突然変異を瞬時に起こして、四次元、五次元の世界へと高次元化していくことなのです。 |
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| 河口先生の今後の夢とはズバリなんでしょうか。 |
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夢と言ったら、進化論的な意味では、まず2万数千年前の時代に行くことかなぁ。さらにカンブリア紀の5億数千万年前の生命の種が爆発的に大発生し多様性に富んだ時代にね。また人工生命の芸術的種を他の銀河系宇宙にいっぱい旅たたせたいね。また天の川銀河を俯瞰して見たいな〜。そのためには光速を超える何かが必要になってくるけど。できたら、深宇宙、宇宙の果てまで行ってみたいです。宇宙生命体の図鑑を作りたいからです。
僕にとっての芸術は、自然と自分との対話の中でのサバイバルメディアなのね。生の自然を乗り越えた色を創造したいし、生命化したいですね。芸術による生命賛歌です。 |
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| ありがとうございました。 |
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*SIGGRAPH(シーグラフ) 毎年アメリカで開催される、世界最大かつ最も権威のあるCGとインタクティブ技術の祭典。 |
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とにかく、CGを使って自分の一番やりたいことをとことんやることですよ。
「作品を作る」というのは、自分との「楽しい闘い」なのです。何を表現するかの楽しい闘い。自分の一番やりたいこと、一番好きなものを、とことん追及して表現してみる。深く追及すれば追及するほど葛藤して面白いものになりますよ。たとえば、自分の好きな色、味わい、肌触り、とかね。赤と言っても、色んな赤があるでしょ。自分独自の形や色を極めなくちゃ面白くないですよ、とことん。そうじゃないといいものはできないかも。とにかく、自分の原点に帰ってとことん追及してみること。これにつきるね。 |
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