DCAは東レが文化支援の一環として主催するコンピュータ・ピクチャーの公募展です。

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TORAY DCA Winner's TIPS
第12回 DCA2006最優秀賞受賞 青木美穂さん
CGはいつ頃から製作されているのですか?
アジアからの学生、彭超さん、アカニット・ナコネクズニーさん、王思遠さんと3DCGを本格的に始めたのは、1996年ごろ、大学院の時です。その前にずっと大昔、2Dで絵を描く様なことは中学生のころやっていました。そのころ私のコンピュータでは色が最大8色しかなくて、ピクセルがすごく大きかったです。CDやフロッピーディスクさえない時代で、音楽テープに何分もかけてデータを保存していました。いま考えるとすごい時代ですが、楽しかった覚えがあります。
CGを始めたキッカケは何だったのでしょうか?
大学に入ってコンピューターから遠ざかっていたのですが、オハイオ州立大学の大学院に美術を勉強しに行ったときに、たまたま私のスタジオの隣の建物がCGの研究センターで、3DCGの日本人の先生がいるというので遊びにいき、そのままはまってしまいました。
DCAに応募されたのはどんな動機からだったのでしょうか?
冬の大学の入り口(写真は昔の看板、現在のものは、下の電光掲示の部分が新しくなりました)アラスカだと学生が他の学校の学生の作品に触れる機会が少なく、自分のレベルを知ったり、他のアーティストの作品から学んだりするのが難しいので、教えている学生に、公募展等に応募するといいよ、と言っています。しかし、なかなか積極的になれない学生や、入選しなくてがっかりしてしまう学生も多いので、教員が積極的に応募すれば、学生もつられて応募するんじゃないかと思い、いろいろ作品を出しています。DCAの応募は、インターネットでできるので、僻地に住んでいる人や、作品を額装、搬入することが物理的、経済的に難しい人でも、応募できるのですばらしいと思います。
今回の受賞作品でこだわった点や苦労された点を教えてください。
ガラスの透明感を出すのにとても時間をかけました。レイトレーシングの計算だけでは納得がいかない画像になるので、いろいろ数値や手法を変えた画像を何枚かレンダリングして重ねました。そのほかにも、色みを複雑にしたかったので、写真や手書きの画像を重ねて色をだしました。なので近くでよく見れば、白樺の木や、網戸、つらら、雪などが写っているのがわかるものもあります。細かいものも入れると、20枚以上重ねているものもあります。
青木さんの作品は、お住まいになっているアラスカの澄んだ空気感とユーモアな造形とが審査委員全員から大きな評価を得ました。アラスカの自然から受ける影響は大きなものがありますか?
夏の大学の実験農場フェアバンクスに引っ越して来た時、アラスカのアートシーンで、風景画が大変大きな位置を占めているのに驚きました。始めは「なぜ今時、風景画?」と感じたのですが、住んでいるうちに理解できる様になりました。車で15分走れば、大自然のまっただ中に出てしまう環境では、人間の心理とか、都市の生活みたいなものは、あんまり重要ではない感じがしてきます。私も、毎日の空の色や、周りの風景の変化に敏感になりました。作品も動物や自然に関係したイメージが増えたと思います。
アラスカの絵画で、ピンクや薄紫、空色といったパステルカラー色が多いのも、不思議に思いましたが、太陽がいつも低い角度でさすので、特に冬は空の色が晴れた日もビンクやオレンジになり、風景が淡い色の光につつまれます。白夜の夏も楽しいですが、私は冬の風景のほうが好きです。
今回なぜ「宴」というテーマを選んだのですか。またいろいろな形をしたグラスのアイディアはどこから浮かんだのでしょうか。
制作を始めたときが、ちょうどアメリカで11月の感謝祭から新年までのホリデーシーズンに入るころで、スーパーなどでもクリスマスの音楽が流れ、パーティー用の食器やギフト、ツリーの飾りがならび始めていたので、自分の気持ちも「宴」にぴったりだったので、このテーマにしました。グラスのアイデアは、CGを勉強する前、ガラスで制作していたころに、こんな形のオブジェクトが作れて、それがまた動いたりしたら楽しいだろうなと思っていた形と、新しく思いついた形を混ぜて作りました。
どのようなパソコン環境で製作されていますか?
制作風景自宅では友人に手伝ってもらって組み立てた小型のデスクトップのコンピューターで制作しています。ちょっと人に言えない様な旧型の安いグラフィックスカードと、512MBのRAMで動いています。これでよく3Dや画像処理の仕事ができるものだと自分でも感心することがあります。今回DCAでいただいた賞金で、アップグレードしたいと思います。
DCAを受賞されたことで、何か変化はありましたか?(友人から見たよ、と言われたとか、制作活動にもっと意欲が出た!とか・・・)
日本で授賞式に出席している間に、フェアバンクスの地元の新聞に載ったらしく、帰ってから「おめでとう」と言われました。自分ではいつ新聞に載ったのか知らなかったので、ちょっとびっくりしました。作品を売ってほしい、という人も結構いたので、これからもがんばろう、とうれしくなりました。
今後はどういう作品を創っていきたいとお考えですか?
このDCAで賞をいただいた作品は、自分の今までやってきたことを、いろいろな形でうまく形にできた作品だと思います。いつもアイデアはふっと浮かぶのですが、そのアイデアのもとはいろいろ経験したり、過去に見たりしたことからきていると思います。でも、あまり過去のイメージにとらわれていても進歩しないので、新しいものもどんどん吸収していきたいです。今は飛行場のそばに住んでいて、飛行機の写真をよく撮るので、そろそろそういったイメージも出てくるのではないかと思います。
これからDCAに応募されようとしている方々にメッセージをお願いします。
CGやデジタル写真はどんどん手軽になって、年齢や文化を超えて、幅広い人が楽しめる手法になったと思います。絵が苦手な人、数学、プログラミングが得意ではなくてもやり方次第で素晴らしい作品ができますし、またそういった分野の得意な人は、それを生かしてユニークな作品が制作できるメディアだと思います。どんな人でも、その人の歴史や個性を反映しておもしろい作品ができるのがCGだと思いますので、皆さんもどんどん自分の可能性に挑戦してほしいと思います。
第12 回 DCA2006 最優秀賞受賞作品「parties」
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作品ができるまで


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